もともと欧米にはホステルやバックパッカーズと呼ばれる主に二段ベッドに寝泊まりする安価な宿泊施設がありますが、同じような宿泊施設が東南アジアなどではゲストハウスという呼称をつけていることが多々ありました。地域の違い以外では、欧米の都市部のホステル(ユースホステル)となると、100ベッドを越えるような大規模なものが想像されますが、一方ゲストハウスの場合は、家族経営で行われているような小規模なものを想起することが多いようです。
それまでに海外旅行や海外赴任をしていた若者が、2000年代初頭に東京や京都にゲストハウスを出店し始めた黎明期には、まだ日本おいてホステルという呼称はそれほど定着していませんでしたが、グローバリゼーションの高まりもあり2010年代になるとバックパッカーズやホステルという呼称をつけた宿が登場するようになりました。ゲストハウスという言葉は、貸し切りの邸宅型結婚式場、披露宴会場や今日シェアハウスと呼ばれている家具付の貸部屋(おもに月極)の施設の名称ともなっているので、混同を避ける目的もありホステルという名称が定着しつつあるようです。
名称はともあれ、ゲストハウス・ホステルとは、アメニティサービスを極力省いた安価な素泊まりの宿で、海外ではバックパッカー(リュック1つで格安な宿を泊まりながら長期的に旅をする人)が利用する宿として知られています。長期間旅行する彼らは、過剰なサービスよりも最低限の設備で一泊あたりの単価が格安である宿泊施設の方が都合がよく、また、後述するゲストハウスならではの楽しみ方を彼らはよく知っているので、バックパッカー達はゲストハウスに泊まるのです。
一方で宿泊単価を安く提供したい側は
ドミトリーと呼ばれる相部屋を提供します。1部屋に4人~10人ぐらいまでが泊まれるベッドを用意し、1ベッドごとに1人のお客様を宿泊させるいわゆる相部屋とすることで、宿泊単価を安く抑えることができるのです。
また、ホテルや旅館では当たり前のように思われる
サービスが提供されないことがあります。たとえば、お布団またはベッドのシーツはお客様ご自身で敷いて頂きます。お食事は提供していません。バス・トイレはほとんどの場合が共用のものを利用して頂くことになり、お風呂も共同の大浴場のようなものはありません。浴衣もございません。また、歯ブラシセット、髭剃り、バスタオルなどのアメニティも用意されておらず、有料での販売もしくはレンタルという形態をとっています。